保健室の甘い時間
吉岡先生の笑顔を見る度に、今でも少しドキッとする。

だけど、私がフラれたのは昨年のバレンタイン。

それから1年以上経った今は、もう気持ちも落ち着いているし、普通に話せているけど。

私が意識をしないで話せるようになったからなのか、最近ではプライベートの話とかもするようになった。

と言っても、私生活に何の変化もない私。

だから、たいていは吉岡先生の話を聞いている事が多い。


私は胃薬を棚から取り出し、吉岡先生に渡す。


「すみません。ありがとうございます」

「いえ、いいんですけど……。最近、本当に飲み過ぎじゃありません?別に“飲むな”とは言いませんけど、少し量を減らされては……」

「岩瀬先生、僕の事、心配して下さっているんですか?」


そう言う吉岡先生は、嬉しそうな顔を見せる。


いや、心配というか……

よく飲み過ぎている人を目の前にしたら、誰に対しても言うと思う。


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