保健室の甘い時間
「いや、ダメってわけじゃないですけど……」

「じゃぁ、コーヒー貰っていいですか?」

「……はい、どうぞ」


職員室に戻る気はないんだ


そう思った私は、吉岡先生を帰す事を諦め、仕事を続けた。


「岩瀬先生はコーヒー飲みますか?」

「じゃぁ、お願いします」


私が机に向かって仕事をしていると


「はい、どうぞ」


吉岡先生は私の机の上にコーヒーを置く。


「ありがとうございます」


顔を上げると、私の側に吉岡先生が立っていた。


「砂糖とミルクは入れておきましたよ」

「ありがとうございます」


私は一口、吉岡先生の入れてくれたコーヒーを飲む。


「あっ……」


私は吉岡先生の顔を見上げる。

吉岡先生がコーヒーに入れてくれた砂糖とミルクの量は、私のいつも飲むコーヒーと同じだった。


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