保健室の甘い時間
その事に驚いていると


「美味しいですか?」


吉岡先生は嬉しそうな表情をし、私を見ている。

そんな表情に、私はやっぱりドキッとしてしまう。


もう、諦めたはずなのに……


私はパッと目を逸らし


「はい。砂糖とミルク、ちょうどいいですよ」

「よかった。……って、岩瀬先生、顔赤いですよ?」


私の顔を覗き込み、吉岡先生はにこっと笑う。


「そっ、そんな事ないですよ」


そう言って、私はまた顔を逸らし、気持ちを落ち着かせるようにコーヒーをもう一口飲む。

さっき、吉岡先生にドキッとした時、顔が赤くなったのが自分でもわかった。

だから、顔を逸らしたのに……


「ふーん。まっ、いいですけど?」


そう言って、吉岡先生は私の机にもたれる。


その後、何かを話すわけでもなかったけど、すごく心地良い、ゆったりとした時間が流れた。


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