保健室の甘い時間
キーンコーン カーンコーン――


授業の終わりを告げるチャイムが鳴ったかと思うと、急に保健室の扉の向こうから、賑やかな声が聞こえてくる。


「――…」


ガラガラ――


「先生!体育でこけたー!!絆創膏ちょうだーい、って先生、顔赤いよ?」


生徒は元気よく入ってきたかと思えば、私の顔を見てきょとんとしている。


「そ、そんな事ないよ!ほら、傷見せて」


生徒が入ってくる直前。

吉岡先生に耳元で囁かれた。

別にヘンな事を言われたわけではない。

ただ……


「コーヒーご馳走様でした」


そう言われただけなのに。


私の耳元に、吉岡先生の吐息がかかる……

そして、私の頭の中で、吉岡先生の低く落ち着いた声が響いている。

私は耳元で囁かれた瞬間、すごくドキドキした――…


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