保健室の甘い時間
「まぁ、その話はいいとして……。その時、母親に『好きな人はいるのか』って聞かれたんだ。でね、その時、私、吉岡先生の事が頭に思い浮かんだの」

「それって、まだ吉岡先生の事が好きって事じゃねぇーの?」


だよね。

やっぱりそう思うよね……


吉岡先生は、相変わらず保健室によく来る。

少し話をしてから職員室に戻る日もあれば、ゆっくりコーヒーを飲んでから職員室に戻る日もある。

母親と好きな人の話をした後っていうのもあるけど、一緒にいる時間が増え、吉岡先生の事を知るにつれて

“今もまだ吉岡先生の事が好きなんだ”

って、自分の本当の気持ちに気付いてしまった。


だけど、私はフラれている。

いつまでもフラれた相手の事を想っていても仕方ないし、“次の恋をしよう”って思うようにしていた。

だから、本当は自分の気持ちに気付いたけど、“吉岡先生の事、もうなんとも思っていない”と思うようにしていた。


私はグラスにまだ沢山入っている焼酎をグイッと一気に飲み


「おにぃーさん、おかわりちょうだい!」


私は通り掛かった店員さんに注文する。


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