保健室の甘い時間
そして、昨年のバレンタイン――…


私はチョコと一緒に気持ちを伝えようと、同じ大学でその頃から仲が良く、そして今、同じ学校で働いている化学の先生の永井 諒(ながい りょう)に頼んだ。

吉岡先生に、手が空いたら保健室に来てもらうように。

諒ちゃんとは、よく飲みに行き、仕事の話や恋の話、お互いいろんな話をしている。

一緒にいてすごくラクな友達であり同僚。

そんな諒ちゃんだからお願いをした。


ガラガラ――


「岩瀬先生、すみません。遅くなって……」


陽も落ち、暗くなってきた頃。

両手いっぱいにチョコを抱えた吉岡先生が保健室に来てくれた。

バレンタインの時、毎年、女性教職員全員から、男性教職員全員に義理チョコを配っている。

だけど、その量は……

確実に、生徒達から貰ったのであろう。


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