保健室の甘い時間
「それに……」


吉岡先生は私の頬に触れ


「こんな事もしていないでしょ?」


そのまま私の髪に触れ、指に絡ませる。



「ちょっ……」


吉岡先生に触れられるだけで……

吉岡先生を近くに感じるだけで、真っ赤になってしまう。

そんな私を見て、吉岡先生は満足そうに笑う。


「もう……」

「拗ねないで下さいよ。まっ、拗ねた先生も可愛いけどね」


そんな事をさらっと言う吉岡先生に、私の顔はますます赤くなる。


「あっ、そうだ」


吉岡先生は急に真剣な顔で私を見る。


「ねぇ、先生。お見合い……、もちろん断りましたよね?」


あっ、忘れてた……

それ以前にお見合いを“する”“しない”の返事すらしていなかったけど。

返事をしていないって事は、私がそこまで嫌がっているわけじゃないって思って、きっと母親はお見合い話を進めているよね。


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