保健室の甘い時間
「岩瀬先生?」


無意識にその大量のチョコを見ていた私は、吉岡先生の声にハッとする。


「あぁ、ごめんなさい。それ……、大変そうですね?」


そう言いながら、大量のチョコを指す。


「僕もこんなに沢山のチョコを貰ったのは、初めてですよ」


そう言って吉岡先生はにこっと笑う。


「あの……、先生。この後、ご予定は?」


吉岡先生に彼女がいるかいないかは、諒ちゃんに探りを入れて貰っていた。

そして“今、彼女はいない”と聞いたけど、一応、確認してみる。


「はは……、寂しい事に何も無いですよ。岩瀬先生は?」


私は吉岡先生の答えにホッと胸を撫で下ろし


「私も無いですよ」


そして、にこっと笑う。


「よかったら、コーヒー飲みますか?」


普段、一緒にいる事がほとんどない分、少しでも吉岡先生との時間を過ごしたかった。


「いえ、もう遅いので……」

「で、ですよねー」


だけど、コーヒーですら断られた。


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