保健室の甘い時間
「私が好きなのは、吉岡先生です」


誤解を解くように、私はもう一度、気持ちを伝える。


だけど……


「ありがとうございます。……でも、ごめんなさい。今は教師としてまだまだ未熟で、もっと成長したいし……。だから、今は誰かと付き合うとか考えられないんです」


吉岡先生は申し訳なさそうな表情で、真剣に答えてくれる。


「だから、チョコは受け取れません。すみません」


そして、頭を下げる。


「いえいえ……、気にしないで下さい。すみません。お忙しいのにお時間取らせてしまって……」


お互いの事……

というか、挨拶や業務的な話はするけど、それ以外の話はほとんどした事がない。

だから、上手くいくなんて思っていなかったけど……

やっぱりショックだな。


だけど、ショックな気持ちを隠し


「遅くなっちゃったし、帰りましょうか?私はもう少し片付けが残っているので、お先にどうぞ」


「はい、すみません。では、お先に失礼します」


そう言って、吉岡先生は保健室から出て行く。


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