chu to hug
「亜樹に泣かれると思ってた…。」

言葉の意味が…突然に別れを
言われたあの時と同じように
すぐに飲み込めなかった。

あの頃の涙はもう出ないよ。
耕輔が横に居てくれた時と
耕輔が横に居ない時とは違う。
私は、変わったんだよ。

前向きに好きな男性が
できたらいいなぁって思ったり

もう出逢っているかもしれないし
これから出逢うかもしれない…
小さなあたたかい気持ちで
優しい表情をする男性と
また…恋するかもしれないもん。

あの頃と同じでいられなかった。

それなのに…ぎゅっと…
耕輔は、私を抱きしめてきた…。

私の心の動きを分かってくれる
私に敏感な耕輔だからなのか…
ただ、ズルイ男性だからなのか…

やっぱり理由は分からないけれど
それでも、そのままでいた。

小さなバーで、マリブパインのグラスに
水滴がたくさんついている前で。

耕輔の笑顔が大好きだったのに。
このままじゃ顔が見えないよ。

それにしても、私は、もう、耕輔に
抱きしめてもらう理由はないよ。
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