ねぇ、先生。
急に怖くなった。
ここにこうして2人でいることに慣れてしまってる自分が。
これがなくなったらあたしはどうなってしまうんだろうって。
「咲良さんって、絵に興味あるの?」
あたしを見ずに言った先生。
「絵、ですか…?」
「あ、今更って感じだけど」
表情は見えないけど、きっと先生はいつもみたいにふにゃんと笑ってるんだろう。
「字はすっげぇ綺麗だから。もしかしたら絵描くのも上手なのかなって」
ガチャガチャと音が鳴る引き出し。
「絵は全然描けません」
「あ、そうなの?じゃあ描いてるの見るのが好きなんだ?」
「え?」
「…もしかして、見るのも好きじゃない?」
あぁ、そうか。
先生は、絵を見るのが好きだからここに来てるんだろ、って言いたいんだ。