ねぇ、先生。
それでも愛しい人
ジトジトした空気が教室内を包んでた。
外は最近ずっと雨が降りっぱなし。
湿気のせいで髪がまとまらないし、登下校のたびにローファーがビチョビチョになる。
…だからかな、気分が落ちたまま。
「やだね、雨」
「梅雨だもん、仕方ないよ」
梨花からは当たり前の返事が返ってきた。
彼女の気分も落ちたままみたい。
「あたし今日放課後中村先生と進路の話するから、先帰ってて?」
「んー、分かった」
「茉央もまだだよね?」
この時期になるとクラス全員1人ずつ、中村さんと面談することになってる。
もちろん進路の話で。
「うん、まだ。どうせまだ決まってないし、話すことないんだけどね」