ねぇ、先生。
「何?」
「ん、いや、何でもねぇ。じゃあな。」
何を言いかけたんだろう。
シロらしくないというか、雰囲気がいつもと違うように見えた。
何も考えていないようで、実はすごく色々考えて生きてるんだよね。
「茉央、10分経ったら体育準備室に来いって中村先生が言ってたよ」
「んー、分かった」
クラスメートがパタパタと駆け寄って来て中村さんからの伝言をあたしに伝える。
10分経ったら梨花の面談が終わるから来いってことだろう。
それを伝えるために生徒を使うところが中村さんらしいな。
まだガヤガヤと賑やかな教室内。
その中には篠原先生の姿もある。
…相変わらず人気者だから、生徒に離してもらえないんだろう。
先生は今日美術部の活動があるはずなのに。だから早く行きたいはずなのに。