ねぇ、先生。
……あたしには関係ないか。
関係ないと頭では考えてるけど、視線は自然と篠原先生の方へ。
ほとんど無意識だった。
生徒に囲まれてる先生の姿を一瞬で見つけて、少しの間見つめた。
久しぶりにちゃんと見た先生は、やっぱり緩くて生徒みたい。
「俺そろそろ美術室戻んないと」
そんな声が微かに聞こえてくる。
「えー、戻っちゃうの?美術部の活動があるとか?」
困ったような笑顔。
…視線が外せないのは、きっとあの子たちが羨ましいからで。
「先生って、普段美術室で絵描いてるんですか?」
そんな質問に反応したのは、先生よりもあたしの方だった。
先生はいつもと同じ笑顔。
「いや、普段は描いてないよ」