ねぇ、先生。
―ガラッ…
「失礼しまーす」
中村さんが言った通りの時間に体育準備室に着くと、中には中村さんしかいなかった。
「遅い。」
「10分後に来いって言ったのは中村さんでしょ?」
自分から時間を指定しておいて文句言うなんて、何てやつだ。
「梨花は?帰った?」
「とっくに帰った。ん、座れ」
体育教師が中村さんしかいないのは、まんな部活の顧問として出払ってるからだって今気づいた。
中村さんも陸上部の顧問なのに、こうして生徒のために時間を作ってくれる。
「進路決まってんのか?」
「全然決まってない」
「だろうな。期待してねぇ。」
そう言って何か書いてた。
覗き見ると、生徒の名簿で。あたしの名前の横に″未定″と書いてある。
あたし以外にも未定と書かれてる生徒は何人かいたから、勝手に安心。