ねぇ、先生。
「何これ?」
「教員用の資料。」
「教員用?あたしいらないよ」
「お前にじゃねぇよ。」
あたしにじゃない?
じゃあ何であたしに渡すのよ。
「俺これから部活出るから、これ篠原先生に渡しに行って。よろしく。」
それだけ言うとクルリと回れ右をして去って行こうとする。
「えっ、ちょっと待って!」
「何だよ」
「何であたしが!」
そう言うと、中村さんは何言ってんだ、みたいな顔であたしを睨む。
「中村さん、資料くらいなら俺が届けるよ。篠原先生に渡せばいいんだろ?」
隣にいたシロが言う。
中村さんはそれじゃ意味がない、とでも言うようにため息をついた。
「咲良、俺大学調べとけって言ったよな。調べてねぇだろ。」
「……調べてないけど」
「約束破ってんだから、それくらい出来るよな?」