ねぇ、先生。

中村さんってば鬼かよ。

きっといつまでも行かないあたしに痺れを切らしてこんなことしてるんだ。

…協力はしないって言ったくせに。


「咲良、俺が…」

「大丈夫、渡してくる」

「多分美術準備室にいるから、ちゃんと渡せよ?それ、明日使う資料だから」

今プレッシャーかけてきた。

明日使う資料なんて、絶対に今日渡さなきゃ困るじゃない。


「茉央、1人で大丈夫?」

「うん、先に帰ってて」

心配そうにあたしを見つめる梨花に笑いかけると、安心したようにシロの腕を掴んで歩き出す。

「ちょっ、何で俺まで!」

「いいから、帰るの」


2人の後ろ姿を見つめながら、少しドキドキし始めた胸を抑える。

「行ってこい。」

「…中村さんって強引だよね、協力しないって言ったくせに。」

「うるせぇ。」

トンッと背中を押されて歩き出す。

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