ねぇ、先生。
「8がない……」
資料を抱えたまま美術準備室をキョロキョロと見渡す。
資料らしきものが落ちてるようには見えない。ていうか絶対ない。
やばい。
しゃがみ込んだままでどうにかなる問題じゃないけど、ショックすぎて立ち上がれなかった。
「んー…ない。」
ロクなことがない。
勇気出して来たのに。
何で……
「これ?」
俯いてた顔を上げた。
真横から聞こえてきた声は紛れもなくあの人の声だった。
「これでしょ。ほら、8って書いてある」
あたしの横にしゃがんで、ふにゃんと笑う篠原先生。
心臓が、また暴れ出した。