ねぇ、先生。

そう、それです。

なんて言葉が出てくるわけもなくて、ただ先生を見つめて何も言えないでいる。

目線を合わせてしゃがんでる先生が柔らかく笑って、はい、なんて言ってプリントを差し出した。


「久しぶりだね、ここに来るの」

あぁ、やっぱりダメだ。

キューッと締め付けられる胸が、もう限界を超えていた。


「…あの…これ、中村さんから…」

手に持ってたグシャグシャの資料を俯いたまま先生に押し付ける。

ドキドキしてるのは、まだ好きだから。

謝ろうって考えてたのに、いざとなるとそれすらも出来ない。


「…ね、それだけ?」

悲しそうな先生の声が聞こえる。

何だかこのままここにいちゃいけないような気がして、慌てて立ち上がった。

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