ねぇ、先生。

彼は先生で、あたしは生徒で。

こんなこと絶対にあってはならないことなのに、どうして?


「…ほんとはここに来るずっと前から、咲良さんのこと知ってた。」

「え…?」

頭をよぎったのはあのコンビニ。

先生がよく来てた、あたしがバイトしてるコンビニしか考えられない。


「知らなかったんだ、ここの生徒だって。だからここに来て、咲良さんのこと見つけて後悔した。」

初めて会った日、先生はあたしを見て驚いた顔をしてた。

「他の学校にすればよかったって。」

あのときにあたしがあのコンビニの店員だって気づいてたんだ。


「しかも副担だし。毎日会うようになって、今までよりももっと…」

今までよりも、もっと?

先生は言葉を詰まらせて、言うのをためらってるように思えた。

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