ねぇ、先生。
「…先生、いいんですか…?」
キツく抱きしめてる先生の手をほどいて、向かい合う。
手を伸ばさなくても触れられる距離に先生がいることが嬉しくて、涙がジワリと浮かんできた。
「あたし、勘違いしますよ…?」
自惚れてしまう。
勘違いなら、そう言って。
今ならまだ…
「勘違いじゃない。」
「え…?」
「俺、咲良さんが好きだよ」
困ったようにふにゃんと笑って言った。
困ってるのは、絶対に言っちゃいけないことを口にしてるから。
夢を見てるみたいだった。
絶対に結ばれることがないはずの彼が、あたしを好きだと言ってくれてる。
「ダメだな、俺」
零れた涙を先生の手が優しく拭う。