ねぇ、先生。
ほんとはずっと好きだった


ガタン、と音がして自販機からオレンジジュースが2本出てくる。

もう少しで夏休みに入るこの時期に、まだ進路が決まってないあたしは焦るべきなんじゃないかな。


「あつっ…」

さすがに長袖を着てる生徒はいなくなって、みんな涼しげだった。

これから部活に向かう生徒も、先生たちも暑そうに団扇で扇いでる。


「咲良ー」

「あ、中村さん」

「進路決まったか?」

最近の中村さんは会う度にこの話をしてくる。ほんと、会う度に。

受験生だから仕方ないけど。


「まだ決まってない。…けど、一応ここの近くの大学のことは調べたよ」

「そ、ならいいけど。」

なんて言った中村さんは、あたしの手元に視線を移した。


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