ねぇ、先生。
「篠原先生に聞いた」
中村さんは自販機からホットコーヒーを出しながら言った。
「え?篠原先生が言ってたの?」
何だか意外だった。
中村さんとそんな話するんだってことと、バレちゃいけないのに話しちゃってるってこと。
「″俺がよく行くコンビニの店員さんなんです″って言ってたんだけどさ、あの人も結構分かりやすくて」
「分かりやすいって?」
「ダメだけどさ、多分この人咲良のこと好きなんだろうなーって。」
ホットコーヒーを上に投げながら冷ましてるけど、ほんとに中村さんらしくないと思う。
「教師としてここに来て、生徒のお前を好きになったわけじゃないだろ?」
「それ、どういう意味?」
「篠原先生はここに来る前からお前のこと好きだったってこと。」
ここに来る前から?