ねぇ、先生。

「先生、あたしが来ない日もここでこの絵描いてるんですか?」

「うん、描いてるよ。何で?」

「あまり進んでるように見えなかったから、もしかして最近忙しいのかなって。」

先生のことだから、描くことに飽きたなんてことは絶対にないはず。

もともとゆっくり描く人なのかな。


「大事な絵だから、いつも以上にゆっくり描いてるんだ。忙しいから進んでないわけじゃないよ」

気に入るまで何度も何度も修正して描いてるんだ、って先生は言った。

そんなに大事に描いてるなら、尚更誰の絵か気になる。

ジーッと描かれていく人を見ていたら、先生はクスッと笑ってあたしの頭をポンっと撫でた。


「ごめんね、気になるでしょ?」

どうして考えてることが分かるんだろう。

「…気になるけど、大丈夫です。そのくらい待てます」

「んふふ、そっか」

また、ふにゃんと笑った。

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