ねぇ、先生。

可愛いな、もう。

先生の笑顔を見る度に心臓がキュッとなる。それが悔しくて俯いた。

落ち着こう、なんて思ってた時、カチッと音が聞こえてきた。


「あ、これありがと」

オレンジジュースのキャップを開けた音。

ペットボトルからはポタポタと滴が落ちて先生の服にシミを作った。

オレンジジュースでよかったかな。

なんて、そんなの今さらだけど。

どうしてオレンジジュースしか買わなかったんだろ。


「……あ」

「何?」

あたしよりも遥かに年上なのに、こんなにオレンジジュースが似合うなんて。

……じゃなくて。

「先生、甘いもの大丈夫なんですか?」

「うん、好きだよ」

…ビターさんなのに?


「何で?」

「…先生、うちのコンビニ来る時いつもビターのチョコとブラックコーヒーしか買わないから、甘いもの苦手なんだと思ってました」

むしろ苦いものが好きなんじゃないかとさえ思ってたのに。

< 151 / 451 >

この作品をシェア

pagetop