ねぇ、先生。

言いたいことはたくさんあった。

でもどう伝えればいいか分からなかったから、精一杯の言葉で。


「先生、頑張ってくれてありがとう」


あたしに覚えてもらおうと、夜遅くコンビニに来たことも同じ物しか買わなかったことも。

ずっと好きでいてくれたことも。

…そのおかげで今こうして、先生と一緒にいられるんだから。


「よろしくお願いします」

なんて、かしこまった返事をすれば先生はクスクス笑って。

「大事にします。」

なんて言って立ち上がると、座ってるあたしをギュッと抱きしめた。

こんなに近づいたのはあの日以来で、いつもより心臓がキューッとなる。


「俺これからも頑張るよ」

「え?」
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