ねぇ、先生。
「先生、子供みたい」
「そう?7歳も年上なんだけどな」
余裕そうに見えるのが悔しくて、どうにかその表情を崩したくて。
「…甘いもの好きなとことか」
「んふふ、それは否定出来ないなー」
それでも先生はいつもみたいにふにゃんと笑ってみせるだけ。
「…ね、何でビターのチョコとブラックコーヒー選んだの?カフェオレとミルクチョコでも良かったでしょ?」
何気無くそう聞いたとき、先生はピクリと反応して目をそらした。
…あ、今ちょっとだけ崩れた。
「せんせ、何で?」
嬉しくて、先生の服を摘まんでクイクイと引っ張る。
「誤魔化したつもりなんだけど」なんて呟いて、チラッとあたしを見る。
「こんな童顔が来るたびに甘いもの買っていったら、子供っぽいって思われるでしょ。」
「え?」
「……だから、簡単に言えばカッコつけたかったってこと」
カッコつけたかった?
それって、あたしに向けてってことだよね?そう思っていいんだよね?