ねぇ、先生。

「分かってよ。」

服を掴んでるあたしの手をキュッと優しく握って言った。

「いくつになっても、好きな子にはカッコいいって思ってもらいたいんだって」

握られた手と、先生の言った言葉に顔が熱くなるのが分かった。


こんなことで動揺して、顔を赤くしてしまう自分が恥ずかしい。

先生は滅多に照れないのに、あたしばっかりいつもドキドキしてる。

…免疫がなさすぎるんだよ。


「ね、分かった?」

「っ、はい、分かりました…」

首を傾げて言う先生にコクンと頷いて見せると、満足したように笑った。

この仕草や言動を分かってやってるなら、先生は小悪魔だと思う。

女の子なら誰だってドキドキしちゃうことをサラッとやっちゃうんだから。


「真っ赤だね、顔」

「…先生のせいですよ」

「そっか、俺か」

少し嬉しそうな先生を見て思った。

もしも頭を撫でられるより、手を握られるよりも先のことを先生とするときが来たら、心臓もたないって。

…大丈夫かな、って。

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