ねぇ、先生。
「俺ね、意外と独占欲強いの」
ほんと、意外。
彼女が男の人と話してても全然気にしなさそうだし、2人で出掛けるって言っても「行っておいで」って笑顔で送り出してそうだもん。
実際、あたしがシロと話してても先生は気にする素振りも見せない。
「だからもし茉央ちゃんに元彼がいたとしても、その話は聞かないよ」
「どうして?」
「今は俺の彼女だもん、前がどうだったかなんて気にしたくないから」
それが先生らしいと言えばそうなのかもしれない。
束縛はしないと思うし、きっとされるのも嫌なタイプだと思う。
「嫌でしょ、何かするたびに、前の人とはどうだったのかなって気にするの。」
「…うん、イヤ。」
キスもそれ以上も、きっと先生は経験してるけど、そんなこと考えたくない。
年上なんだから、あたしよりもたくさんのことを経験してるのは当たり前だ。
気になるのは、前の人とのことよりもこれからのことだった。
何も経験したことのないあたしで大丈夫なのかなって。
それでいいのかなって、そう思うと時々少しだけ不安になるんだ。