ねぇ、先生。

「俺ね、意外と独占欲強いの」

ほんと、意外。

彼女が男の人と話してても全然気にしなさそうだし、2人で出掛けるって言っても「行っておいで」って笑顔で送り出してそうだもん。

実際、あたしがシロと話してても先生は気にする素振りも見せない。


「だからもし茉央ちゃんに元彼がいたとしても、その話は聞かないよ」

「どうして?」

「今は俺の彼女だもん、前がどうだったかなんて気にしたくないから」

それが先生らしいと言えばそうなのかもしれない。

束縛はしないと思うし、きっとされるのも嫌なタイプだと思う。


「嫌でしょ、何かするたびに、前の人とはどうだったのかなって気にするの。」

「…うん、イヤ。」

キスもそれ以上も、きっと先生は経験してるけど、そんなこと考えたくない。

年上なんだから、あたしよりもたくさんのことを経験してるのは当たり前だ。

気になるのは、前の人とのことよりもこれからのことだった。

何も経験したことのないあたしで大丈夫なのかなって。

それでいいのかなって、そう思うと時々少しだけ不安になるんだ。

< 165 / 451 >

この作品をシェア

pagetop