ねぇ、先生。
秘密の約束をしよう
人が大勢集まった体育館は熱が篭っていて、いるだけでジワジワと汗が出る。
全校生徒が集まったこの場所で、校長先生の長い話を聞くのは結構苦痛だ。
「なげー…」
後ろに並んでるシロも暑さでバテてるし、話の長さにゲンナリしてる。
「咲良、今何分経った?」
「今ね、ちょうど10分。」
「…よくあんなに話すことあるよな、毎回毎回尊敬するわ」
明日から夏休みだっていうのに、校長先生は長々と話を続ける。
先生たちも少し疲れてるように見えた。
ふと中村さんの姿を見つけて、そのジャージ姿に思わず笑みが溢れる。
こんな日までジャージなんだ。
そしてその隣に、篠原先生の姿も。
先生もいつもと同じ緩い格好だけど、さすがに絵の具は付いてない。
うちのクラスの担任と副担任、ちょっと緩すぎでしょ。
なんて思って1人で笑みを溢してると、校長先生の話にようやく区切りが付いたようで。
夏休みを楽しんでください、なんて言って壇上を降りていく。