ねぇ、先生。
「そういえばさ、お前進路決まったの?」
「んー、まだハッキリ決まったってわけじゃないけど、一応。でも今日中村さんと進路相談だよ」
「ふーん。結局どこにしたわけ?」
「ここから一番近い大学だけど、確かシロもそこだったよね?」
学年ごとに体育館から出て行くから、少しだけ風が通って涼しくなってきた。
このあと中村さんと進路相談なんて、憂鬱で仕方ない。
中村さんが嫌なわけじゃないけど、進路の話をするのはあまり好きじゃない。
「何だ、また一緒か」
「うん、もしかしたらね」
「俺が最初に言ったときはやだって言ってたくせに、お前ツンデレだな」
「デレてないから。」
シロが分かりやすく嬉しそうな顔をしたから、一緒の大学でもいいかな、なんて思ってしまった。
「……あのさ、咲良」
「ん、何?」
急に真面目なトーンで話し始めたから、少し違和感を感じてシロを見上げる。