ねぇ、先生。

「だから、はい。」

オレンジジュースを差し出して、あたしの頬にピタッとくっつける。

少しぬるくなってしまったそれが、先生があたしが起きるまで待っていてくれたことを教えてくれた。


「待たせたお詫びにあげる」

あたしの考えてることが先生には何でもお見通しな気がする。

ここに来ることが分かってたり。


「ねぇ、先生」

「ん?」

「夏休み長いよね」

「…そうだね、長いね」

またあたしが何を考えてるのか分かったのかもしれない。先生は頬を緩ませてコクンと頷いた。

「俺、茉央ちゃんがいないと寂しいな」

だからほら、こうしてあたしが欲しがってる言葉をくれるんだ。


「だからさ、夏休み中もたまにここに来てよ。待ってるから」

「来ていいの?」

「うん、俺も会いたいから」

俺″も″ってとこが先生らしい。

あたしも会いたいってこと分かってて言ってるってことだ。
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