ねぇ、先生。

「ん、約束」

小指を差し出す姿はとてもじゃないけど先生には見えない。

嬉しそうに笑うから、小指を絡める以外に何も考えられなかった。


「約束したから、ちゃんと来てね」

「でも、美術部の子達がここ使ってる日もあるでしょ?」

「んー、大丈夫。夏休みも変わらず火曜と木曜は部活ないから」

だからいつでも来ていいよ。あたしにはそう言ってるように聞こえた。


「…じゃあ、誰にも見つからないようにこっそり来ます」

「んふふ、そうだね。見つかっちゃまずいもんなー。」

「他人事過ぎですよー」

「そう?大丈夫だよ、きっと見つからないから。茉央ちゃんなら大丈夫」

こんな風に言われたら、絶対見つかるわけにはいかないなぁ。
< 179 / 451 >

この作品をシェア

pagetop