ねぇ、先生。

「生徒と先生なんて無理でしょ」

「うちらがよくても結果見えてるからね」

「あたしは見てるだけで十分」


―ガチャン…


女の子たちは美術準備室をグルリと見渡した後、ドアを閉めて出て行った。

だけどまだ会話は聞こえてきて

「先生になら本気になっちゃう生徒、絶対いるよね」

その言葉に、また心臓が跳ねた。


そのうち美術室のドアを閉める音が聞こえてきて、やっと力が抜けた。

「っ…びっくりした…」

無意識に息をすることを恐れていたから、目一杯空気を吸い込む。


「…先生…?」

あたしを抱きしめたままの先生は、生徒が出て行ったのに動かない。

密着してるから、先生の心臓の音まで聞こえてきて。それが普段より少し早いことに気づく。


「…ごめん、何かやっぱダメだわ」

そう言って、パッと手を離した。

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