ねぇ、先生。

何がダメなんだろう、なんて思った。

だけど、先生の背後に見える時計を見てそんなことは頭から吹っ飛んだ。

「あっ!」

突然の大きな声に先生は驚いた顔で「どうしたの?」なんて聞いてくる。


「今日中村さんと進路相談するの忘れてた!行かなきゃ!」

「あー、そういえば言ってた」

「んーっ、絶対怒ってるっ」

「んふふ、そうだね。絶対怒られるね」

なんて、先生はまた他人事みたいにふにゃんと笑う。


「ほら、行っておいで」

手をクイッと引っ張られて、先生が開けてくれたドアから外に出る。

「…また、来るね」

「うん、待ってる」

じゃあね、なんて言って笑顔で手を振る先生に手を振りかえして、きっと怒ってるであろう中村さんの元へ走り出した。

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