ねぇ、先生。
「ふふ、中村さん教師失格」
「うるせぇ。自覚済みだ。」
中村さんが協力してくれたのは、あたしが他の生徒よりも可愛い生徒だったから。
なんて考えただけで笑えた。
だったらシロも同じってことだよね。
「ね、もしシロに好きな人がいたらさ、それにも協力するの?」
「…したら困るのはお前だろ?」
「え?」
どういう意味だと首を傾げれば、中村さんは呆れたように笑う。
そのあとポンッと頭を撫でて
「鈍感が相手だと白城も苦戦するわ」
「え、シロ好きな人いるの?」
「さあ。直接聞いたわけじゃねぇから分かんねぇけど。」
ドンッとあたしの膝の上に資料を置くと、「目通しとけよ」なんて言って立ち上がった。
「あ、お前さ」
「ん?」
「白城の前で篠原先生と話すの禁止な。」
中村さんのその言葉に心臓が跳ねたのは、思い当たることがあったから。
だから、何も言えなかった。