ねぇ、先生。
シロ side
何がきっかけで好きになったとか、そんなの考えても思い出せないくらい前のことだった。
いつのまにか好きになって、そばにいるのが当たり前になって。
3年目も同じクラスになった。
一番近くにいるのは俺だって。一番分かってんのは俺だって、自惚れてたからかもしれない。
気づいた時にはもう、咲良の目には他の男が映ってた。
高校に入って何度か告白されたことはあったみたいだけど、彼氏が出来たことは一度もなくて。
だから油断してたんだ。
「先生っ」
そんな風に笑う咲良を見たことがなかった。そんな笑顔を俺に向けたことなんてなかった。
ずっと見てきたからこそ気づいた変化。
篠原先生が来て、咲良の様子がおかしくなった。嬉しそうな日もあれば、泣き出しそうな日もあった。