ねぇ、先生。
先生らしいな、なんて思った後、ふとここへ来た理由を思い出した。
何を話したかったのか。危ない危ない、忘れるところだった。
「先生、今日ね、バイト先に先生の幼馴染が来たよ。田村さんって人。」
「え?ユータが?」
「先生、あたしのこと話してたんでしょ?どんな子か見に来たんだって」
「あー…もう。あいつほんとに、勝手なことばっかするからなー」
″ユータ″っていうのはきっと、田村さんのことで。砕けた呼び方が幼馴染だってことを示してる。
目元を手で覆って、深くため息をつく。
先生とは正反対のタイプだと思う。
ゆるゆるした雰囲気を持った先生とは違って、あの人はハキハキした人だったから。勝手なイメージだけど。
黒髪の固そうな短髪も、先生とは正反対。だって先生の髪は少し茶色いし、柔らかそうだもん。
「…昔から知ってるからさ、多分気になったんだと思う。」
「何が?」
「俺が本気で好きになった子がどんな女の子なのか。」