ねぇ、先生。

――――――
―――――――…

話を聞いて、その次ここに来たときにはもう、先生はいつも通りに戻ってた。


「あちーね」

「うん、暑い」

あたしが差し入れとして持ってきたアイスを食べながら、先生はポツリと呟いた。

クーラーがないこの部屋で夏休みを過ごすなんて、先生かわいそう。

職員室に席はあるはずなのに。


「先生、たまには職員室に戻って休憩すればいいのに」

「あー…」

暑さで頭がボーッとしてるみたい。いつもより反応が鈍かった。

「でもさ、茉央ちゃんがここに来たときに俺がいなかったら嫌でしょ?」

なんて言うから、あたしの胸は簡単に貫かれた。キュンとしちゃったよ。


「…うん、ヤダ」

夏休みになって確実に会える回数は減ったのに、ここに来て先生に会えないってなると結構辛い。

だって、あたしがここに来るときはいつだって…遅れてもちゃんと来てくれる。

ここに来れば絶対に先生に会える気がする。でもやっと分かった。

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