ねぇ、先生。
「そうだ、これまだ内緒なんだけど」
「何?」
突然思い出したように話し始めた先生。内緒なのにあたしに言ってもいいの?
「夏休み明けたらうちのクラスに転校生来るんだって。珍しいよね、この時期に」
「転校生?」
珍しいなんてもんじゃない。
3年の、しかももうその半分が過ぎようとしてる時期に転校してくる生徒なんて見たことない。
「親の都合でってことらしいけど。嫌だっただろうね、この時期に転校って。」
今まで一緒にいた友達もいなければ、思い出もない学校にこれから通わないといけないんだ。
…あたしは絶対に嫌だけど。
「女の子?」
「いや、男だよ」
「なんだ、そっか」
少しガッカリしたあたしを見て先生はクスクス笑うと、「女の子がよかった?」なんて聞いてくる。
「だって友達になれたかもしれない」
「男でも仲良くしてやってよ。」
「…先生、独占欲強いって言ったくせに」