ねぇ、先生。
「あんたが今まで付き合ってきた女と咲良を一緒にすんな。」
「してないし、するつもりもない。」
口調がキツくなった。
触れられたくないことに触れたんだって、反応を見ればすぐに分かった。
「白城くんさ、俺のこと遊び人だとでも思ってんの?」
「女慣れしてんのなんて見れば分かんだよ。あんたも咲良が男慣れしてねぇって分かってるよな。」
「分かってるよ」
まだ高校生で、俺が知ってる咲良には彼氏が出来たことなんてなかった。
それが急に7歳も年上の教師と付き合うなんて無理があるだろ。
「何だ、そんな心配?」
俺が考えてることが分かったように笑って、俯いたあと後頭部に手を当ててため息をついた。
「経験がない茉央ちゃんに簡単に触れんなってことでしょ?」
キスとか、その先とか。
俯いたままそう言って、こっちを見た先生。少し困ったように見えたのは多分、心当たりがあるからだろう。
「心配しなくていいよ」
それだけ言って俺の横を通り過ぎた。