ねぇ、先生。
「…だから、教師がする顔じゃねえって」
そんな言葉が出て行った先生に届くはずもなくて、虚しくなる。
俺何しに来たんだよ。
結局先生の咲良への気持ちの大きさを実感しただけで、言いたいことも上手く言えなかった。
全く変わってない状況に悔しくなった。
だって、あの人教師だろ。
俺が言ってることが正しいんだよな?
あんなこと言って咲良が喜ぶわけないって分かってるけど、何もせずに見てることなんて出来なかった。
だけど、先生が咲良を思い出すときにする表情にどこか安心した。
この人、ほんとに咲良が大事なんだって。
だからこそ簡単にそんなこと出来ないし、触れるのだって怖くなる。
誰よりも傷つけたくない存在だからこそ、踏み出すのが怖くて仕方ない。
先生がそんな風に思ってることが分かって、余計に怖くなった。