ねぇ、先生。
多分あの人は、自分の教師って立場よりも咲良のことが大事なんだ。
咲良がそこまで想われてんのに、俺に入る隙間なんてあんの?咲良だって、先生のことで毎日一喜一憂してんのに?
何だよ、すげぇ想い合ってんじゃん。
俺が知らなかっただけで、こうなるずっと前からお互いに想ってたってことだろ?
咲良の目に俺が映ったことなんて一度もないってことだろ。
…これからも映らないってことだろ。
「…はは、うわ、きっつ……」
思った以上に痛かった。
ほんとはどこかで思ってたんだ。もしかしたらどうにかなるかもしれない。まだ間に合うかもしれないって。
最初から無理だったのに。
…咲良。
俺、お前が俺じゃない男のこと思って泣きそうになってても、喜んでても、それでもいいって思ってたんだ。
でももう無理。いざ現実にこうして相手が出来てしまうと辛くて仕方ない。
もうさ、言ってもいいかな。
……お前のこと好きだって。