ねぇ、先生。
ユータ side
「久しぶり。」
「おー、お前おせーよ。」
「教師は忙しいんだよ」
ガヤガヤと賑やかな居酒屋。
1人で呑んでた俺の前に座った蓮は、学校帰りだってすぐに分かった。
「お前着替えてこいよ」
「何で?ユータと呑むだけなのにわざわざ着替える必要ないでしょ」
絵の具あちこちに付けて何言ってんだ。
こいつが美術の教師になるって聞いたときはまず嘘だろって思った。今でもまだ疑ってる。
こんな自由人に教師が務まるわけねぇってずっと思ってたから。
「で、今日は何?」
「理由がねーと呑みに誘っちゃいけないんですか、篠原先生。」
「理由があるから誘ったんでしょ。」
ゆるゆるした雰囲気は俺がこいつに会ったときからずっと変わらない。
流れに身を任せて生きてきた人間だから、あまり怒ってるとこも見なかった。だけど今日はこうしてイライラしてる。
…面白いねー、ほんと。