ねぇ、先生。
いつもの雰囲気とほとんど変わらない変化に気づけるのは、ほんとに一握りの人間だけだと思う。
そのくらいこいつは分かりにくい。
そのくせ、モテるからムカつく。
「気に入らねーことでもあったわけ?」
「……あった。」
「ふーん」
「…何笑ってんの。」
こんなに感情的になるのはきっと、あの子が関わってるからだと思う。
ほとんど毎日コンビニに通って、好きでもない物を買ってまで覚えてもらおうとしてたことを思い出すと笑える。
そのブラックコーヒーとビターのチョコを毎回貰ってた俺の身にもなれよ。
「それって、茉央ちゃん絡み?」
ほら、今も分かりやすく反応した。
ここまで蓮をかき乱す女の子に興味があった。だから一度蓮に内緒でコンビニに行ったんだ。
「…もうほんとさ、可愛くて困ってんの」
「惚気かよ。」
「いや、そうじゃなくて…俺以外にも茉央ちゃんのこと可愛いって思ってるやつなんていっぱいいて、もちろんその中には茉央ちゃんのこと好きなやつもいる」