ねぇ、先生。

「先生暑くない?」

「うん、大丈夫だけど。茉央ちゃん暑い?」

「ううん、大丈夫。」

きっとこういう身体的なことで無理してるんじゃないんだと思う。

だって別に疲れてるようには見えないし、いつもと変わらない先生だもん。

何かあった?なんて簡単に聞けない。だってあたしは全然変化に気づけなかったんだもん。


「ほんとに大丈夫?」

気づくと先生が心配そうにあたしを見つめてて、ドキッとした。

「俺、飲み物買ってくる」

「えっ、いや、ほんとに大丈夫だよ」

立ち上がった先生のシャツの裾をキュッと掴むと、先生は困ったように笑ってそれを優しく解いた。


「俺もちょっと休憩したいから」

だから行ってくる。そう言って先生は部屋を出て行った。

何でちょっと困った顔してたんだろう。

あたしワガママだった?

確かに、少しだけ先生の様子はおかしいのかもしれない。ほんとに、少しだけ。

< 221 / 451 >

この作品をシェア

pagetop