ねぇ、先生。

「飲まないの?」

あたしが手に持ったままのオレンジジュースを指差して、聞いてきた。

「気分悪い?」

先生はあたしがほんとに気分が悪くなってると思ってるみたい。心配そうに見つめてくる。


「ううん、大丈夫」

心配させないように貰ったジュースを飲むと、先生はホッとしたように笑った。

熱中症になったら困るもんね。

カフェオレを机に置いて、今度は筆を持って淡いブルーの絵の具を混ぜてる。


「綺麗な色だね」

「これで空塗るんだ。」

「いいね、それ。」

あたしの好きな色だった。目を引く綺麗な淡いブルー。晴れた空にピッタリだと思った。


「そういえば茉央ちゃん、ここの近くの大学に決めたんだよね?」

思い出したように話し出した先生は、空を塗りながら進路の話。

「うん、決めた」

「白城くんと一緒?」

「あー、うん。そういえば一緒だね」

シロと同じ大学だとか気にせずに決めた。ここから近ければ、先生に会えるかもしれないと思ったから。
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