ねぇ、先生。

「そっか。」

そう言った先生の声が少しだけいつもと違うように聞こえた気がした。

「先生?」

「あーダメ、今見ないで。」

覗き込むと、両手で顔を覆って隠れてしまった。筆が顔に付いちゃいそう。


「何で?先生絵の具付くよ」

そう言っても手はどけてくれなくて、表情が全く見えない。

「俺今かっこ悪いから。」

「え?かっこ悪くないよ」

何?何でそうなったの?

今、進路の話してただけで……あ、シロの話もしたけど。もしかしてそれ?


「…この前さ、白城くんがここに来たんだ。俺に話があるって。」

「もしかして…」

「うん、茉央ちゃんとのことだったんだけど。俺と茉央ちゃんじゃやっていけないって言われたんだよね。」

やっぱり気づいてたんだ。

夏休みに入る前に聞かれたことを思い出した。きっとあの時だって、それを言いたかったんだと思う。

教師と恋愛なんて無理だって。
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