ねぇ、先生。
「この絵が完成したらさ、デートしよっか。卒業する前に。」
「え?」
「この辺だと危ないから、遠くで。」
そういえば、あたし先生とは学校かコンビニでしか会ったことなかった。
「ほんとにいいの?」
今までそんな話にならなかったのは、多分お互いにそれはダメだと分かっていたからだと思う。
2人で歩いてるとこなんて見られたら、一緒にいられなくなるだけじゃない。
「一回だけね。高校生のうちに思い出作っとかないと後悔するよ。卒業してからもデートは出来るけど、それって何か違うと思うから。」
「…先生も後悔した?」
「んー、まぁしてないわけじゃないよ。俺にはもう出来ないけど、茉央ちゃんにはまだ時間があるから。」
だから、デートしよう。
そう言ってふにゃんと笑った。
「女子高生が彼氏と美術室でしか会えないって、ね。高校生の思い出にしては何か老けてるよね。」
「老けてるって…ひどいなぁ。」