ねぇ、先生。

「ほんとにバレないかな?」

「誰にも見つからない遠いとこまで行けば、堂々とデート出来るよ」

高校最後の夏休みに先生との思い出が美術室であってたことだけって、ちょっと寂しい気がする。

だけど、この絵が描き終って堂々とデート出来るなら、我慢する。


「茉央ちゃんが大学生になったら、何も気にせずにデート出来るようになるね。」

「んふふ、そうだね。あたしね、先生に会えるかもしれないからここから近い大学にしたんだよ。」

シロがいるとかいないとか関係なく、この学校から近いから選んだの。

もちろんシロと同じ大学だと心強いし嬉しいけど、それ以上に先生といつでも会える距離にいれることが嬉しい。


「ね、先生。」

「ん?」

「あたしがここを卒業しても、会いに来てくれる?」

「んふふ、もちろん。」

ふにゃんと笑った先生が好きでたまらない。こんな風に笑いかけてくれるなら、外でデートなんて出来なくてもいい。

…ほんとはちょっとしたいけど。

でも、先生といれるならどこだっていい。ほんとに、そう思ったの。

…多分それはずっと変わらないよ。

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